Q.外傷後遷延性意識障害(植物状態)とは何でしょうか。

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A.

外傷後遷延性意識障害(植物状態)とは,頭部外傷や脳出血で昏睡状態となり,死線をさまよったが開眼できるようにはなったものの,周囲との意思疎通を完全に喪失した患者の示す症候群を言います。

これは,1972年JennetとPlumによって提唱された社会的,医学的概念です。
頭部外傷で重症の場合に起こりえる後遺症です。

統計的には重症頭部外傷で生命を維持できたものの,およそ14%がその状態になっていると言われています。
大脳半球がびまん性に(=広範囲にまだらに)損傷しているものの,脳幹機能がほぼ正常に保たれていて心配機能に大きな支障がなく,自発呼吸が可能であるため,栄養補給や褥瘡予防処置が適切に行われていれば,その後も生命維持は十分に可能であるとされています。

診断基準としては,以下の6項目を充たして,それが3ヶ月以上継続してほぼ固定している状態です。
(1)自力で移動できない
(2)自力で食物を摂取できない
(3)糞尿失禁がある
(4)目で物を追うものの認識ができない
(5)簡単な命令に応じることもあるが,それ以上の意思の疎通ができない
(6)声は出るが意味のある発語ではない

問題は,「(5)簡単な命令に応じることもある」という基準です。
アメリカでは,この様な患者に対する治療は中断してよいという声明も出されており,再検討をすべきであるという見解も有力です。
なお,予後絶対不良と思われがちであり,その点から植物人間というように俗称されています。
しかし,脱却することも多くあり,絶対不良とは言い切れないばかりか,植物人間という表現は人権の点から見ても問題があると思います。

外傷後遷延性意識障害(植物状態)については,将来介護をめぐり,介護場所及び将来介護費用の問題があります。
さらには,平均余命についてどう考えるかという深刻な問題があります。

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